日本滞在中、フジTV「夜のヒットスタジオ」に出演、"New
Year's Day"を演奏した。当時、外タレは実際には演奏しないことが多かったこの番組で彼らはちゃんと演奏したのだが、なんとギターアンプの調子が悪くエッジのギターの音が出ないという大変なトラブルが発生。ベースで旋律をとっていたため問題はなかったが、これがきっかけでU2は日本嫌いになったという噂まで流れた。
大阪・フェスティバルホールでは、多くの観客が英語を話せないためBONOは大げさな身振りと明確な発音で「Tonight
is the first night of our first Japanese tour. I hope there are many more
to come.」と喋った。また、"Two Hearts Beat As One"の間奏ではMarvin Gayeの"Sexual
Healing"を歌った。
東京初日の公演でBONOは「週末にTV番組で演奏し、ショービジネスの世界へと躍り出たと思うけど、それが僕らにとって良い事だとは思ってはいない。U2はショービジネスをやりたいのではなく、1つのバンドとしてやっていきたいから日本に来たのだ」とTV出演について語った。
" Two Hearts Beat As One"ではハッピークリスマスの願いを込めてジングルベルを口ずさむ。1982年のアメリカツアーで"Southern
Man"を一緒に歌うために観客をステージにあげたことがあったが、初めての東京公演でも同様にBONOは「I Fall Downのギターを弾いてくれる人はいない?」とたずねたのだ。すると、観客が驚きで見守る中、1人の男がステージに上がり、BONOにその曲の弾き方を教わった。ライブの間、礼儀正しい日本人にとっては非常に異例の出来事であるが、2度とこのような幸運には恵まれないと思った彼は"I
Fall Down"を弾く代わりに、Deep Purpleの"Smoke On The Water"とハードロックの曲、数曲を弾いたのだ。するとBONOが代わりに「Smoke
on the water, fire in the sky」と歌いながら歌詞とメロディーを直し"I Fall Down"に戻った。
髪を振り乱し大声で叫ぶ観客達。
観客の1人をステージにあげる事で、バンドと観衆の垣根が破られ、一体となり、ライブは大成功となったのである。
ツアー終了後、BONOはインタビューにこう答えている。
「日本はとてもおもしろい国だね。慣れる必要があったけれども日本人には尊敬の念を抱いたよ。日本のファンは反応も違ってね。ライブの後、車で会場を離れる時、何百人ものファンが大声で叫んでいたんだ。警察の援護付きだったんだけど、少なくとも5台のタクシーでファンが追いかけてきて、まるでカーレースみたいさ。皆がホテルに1番乗りしようとしているんだ。タクシーが隣に止まって後部シートを見ると、誰もいない。すると突然、顔を出してきて、写真をバンバン撮り始める。
最初の頃はそれがイヤだった。何かしら軽蔑されているように感じたからね。でも、こういうやり方でしか表現できないんだということが分かってきた。俺たちのことを本当に好きだということに対する反応だとすれば、何かしら驚きを感じる。ツアーは前売りで完売だったし!」
参照:「U2 Live - a concert documentary-」 by Pimm Jal de la Parra. Special
thanks to Yasuyo-san.
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