Transcript: Edge interview, @U2 exclusive @U2 original story/transcript, June 19, 2000 http://www.atu2.com/news/archives/00/burstedge2.html 編者註:@U2への寄稿をしてくれるこの作者は、アメリカの主要ニュースネット ワークテレビ局の社員でもある。このインタビューは、burst.comでのPOPMARTツアー 映像配信のプロモーションとして、世界のメディア向けに最近エッジがこなしたものの うちの1つである。Burst.comのウェブサイトにあるものとは違うものである。この インタビューはビデオの抜粋を組み合わせて、衛星を経由してネットの加入者向けに 配信された。この@U2の独占記事では、インタビューが行われてから初めてその 全貌が明らかになっている。 by Kevin Byrne  「掟破りを心配するようでは、ロックンローラーとは言えない」       話題のインターネットミュージックをめぐる論争について 〜エッジ〜  ロックンロールの伝説にはいろいろあるが、U2のギタリストであるエッジは、 (a)彼の頭蓋骨の形から、(b)きわめて鋭い性格からその名が与えられた。  しかし真のファンにとっては、そんなことよりも彼の作り出す音楽の方がずっと 大事である。  U2ファンはこう言うだろう。ボノは彼の声でバンドに情熱を与えることができる が、バンドの音楽性に最も貢献しているのはエッジであると。  エッジを知る人は、彼はバンド内でも一番内省的だと言う。穏やかで、且つ熱烈でも あるとも言われる。しかし本当は、彼は鋭く、知的で、愛想が良く、狡猾で、ユーモア に溢れ、物知りで、とてもウィットに富んだ男なのである。  おお、そしてとても気軽な男である。ずーっと昔からそれは変わらない。  そう、明らかに神経質とは程遠い男エッジ。彼はおそらくロック史上、彼の音楽と 同じくらいかっこいい帽子の似合う唯一のギタリストである。  そして、帽子を定位置にかぶり、このアイルランドのギター職人は、フランスは ニースでのバンドの忙しいレコーディングのスケジュールを割いて、@U2のライター Kevin Byrneとのテレビ電話でのインタビューに応じてくれた。話題はインター ネットでのコンサート配信、現代の音楽界へのインターネットの役割、ニューアルバム、 盗まれたノートPC、クリスタルの賞品、ファッション、そして結婚式での演奏の 話である。 〜〜〜〜〜 Q:エッジ! 聞こえるかい? 「ああ、聞こえるよ、ケビン。そっちは?」 Q:良く聞こえるよ。元気かい? 「ああ、バッチリさ。君は?」 Q:ああ、僕もさ。すこぶる快調さ。君はニースにいるんだよね? 「そうさ」 Q:そっちの生活はどうかな? 「ニースは素晴らしいよ。この辺りはとてもきれいなところなんだ。」 Q:ニースでもギネスは飲めるのかい? 「飲めるよ。ああ、ギネスね。正直なところNo.1ではないんだけど、ここはギネスを 飲みに来るようなところではないんだよ(笑)。ここに来るんだったら、第1の理由は バラだろうね。」 Q:素晴らしいね。さて・・・、今回はburst.comでPOPMARTメキシコ公演の限定 公開をすることを祝うためにニースに来ているんだよね? 「そうだよ」 Q:インターネットにこのビデオを公開するに至った理由は? 「そうだね、burst.comと関わるようになって10年になるんだけど、その集大成って とこかな? 彼らは僕らのところに新しいアイデアをいくつか提案してきたんだ。 それから連絡を取り続けていたし、Zoo TVツアーではいっしょに仕事もしたし、今や 彼らはインターネットで動画を配信するのに凄く適した技術を保有しているんだ。 彼らはそれにずいぶん長く取り組んできていたし、その分野の権威だ。だから、僕らが インターネットで他の誰もが実現したことのないことをしようといろいろ考えてみた 時に、それが自分達のアイデアを具現化する完璧な答だということが分かったのさ。 僕らはとても面白いコンサート映像を持っていたからね。それから彼らに話をして、 アイデアを練り上げていったんだ。誰もしたことのないことを自分達が実行するのは とても楽しいね。それから、彼らのテクノロジーで人々がとても安定で良質な画像で 楽しめるって確信しているんだ。それで、僕らにとって一番重要なのは、どんな やり方であれ、今までのインターネットの技術ではよく起こっていたイライラする ような問題がなく、人々が心の底から楽しんでもうことができるんだ。」 Q:1997年に戻るけど、君の言葉によれば、そのスケールと概念を得ることによって U2がPOPMARTツアーとともに「まさに一緒に首を懸けている」ということだったん だけど、現在になって改めてburst.comで配信されている映像を見て、あのツアーに ついてどう思っているのかな? 結局大成功だったと考えているのかな? 「ええと、ZooTVツアー以来の大きなスタジアムツアーを行おうと決めた時、確かに 随分思いきった決断をしたものだと思ったよ。あれは本当に大きな出来事だったな ・・・。で、それを実行したことには後悔はないよ。だけど使ったパワーが尋常では なかのは確かだね。僕らは確かにいくつか問題を抱えていた。膨大な時間とエネルギー をショーに費やしたし、とりわけあの時はレコーディングも同時に終盤にかかって いた時は特にね。  僕はこのビデオは、僕らが注ぎ込んだ努力による成功を記録した遺言みたいなもの だと思ってるんだ。あのショーのすごくいい資料だとも言えるね。ZooTVもそうだった けど、あのショーはツアーの期間を通して次第に凄いものになっていったんだ。 というか、あれは18ヶ月にも渡る長いツアーだったでしょ。最初のPOPMARTと最後の POPMARTは同じ物ではないんだ。だからメキシコのショーに関して言えばツアーの 終盤に差し掛かっていたから、たくさんの仕掛けができていたんだ。とても楽し かったよ。」 Q:じゃあ、過去10年間のアルバムを買った人とかコンサートを見に行った人は、 エレクトロニクスとビデオの与えたU2の作品への影響を知っているよね。インター ネットの音楽界への進出や、burst.comのようなサイトの存在がU2の今後の方向性に 影響を及ぼしていると思う? Napsterのようなサイトが、音楽に対するファンの 考えを変えているように。 「僕はインターネットに興味があるし、もう7〜8年はその成長過程も知っているよ。 burst.comのテクノロジーにも他のものと同じように見てきたし、だって、インター ネットは絶対に人生のあらゆる面にものすごいインパクトを与えると思うからね。Bob Dylanが時代は変わる〜♪≠ニ歌っているように、まさに今はインターネットが 世界を変えていると言ってもいいくらいだからね。  僕らは著作権の問題に関してはそんなに偏執的にはなっていないよ。僕らは、 ミュージシャンが自分達の活動のいったいどの部分に対して報酬を得るのか、既存の 大原則をインターネットが変えつつあると言う点を実感しているよ。と言っても、 アーティストのプロモーションなどに関して言えば利益を捨てているような状態だけど。  僕らは楽観的だよ。僕らは自分達にとって良い方向でやっていけると思うし、その 逆についてはあまり考えていないんだ。インターネットで皆がパニックや誇大妄想に 陥ったりすることはないと思うし、この新しいコミュニケーションツールに取り憑か れることもないと思うよ。  僕は、アーティスト側はいつでもアルバムを売ることができると思う。アーティストは これからもそれぞれの道を進むことができる・・・。それよりも、僕はインターネットは 別の視点で見た方がいいと思うよ。つまり、『こいつで何ができるかな? 興奮するなあ』 ってね」 Q:じゃあ、みんなが知っているけど、君たちは今、ニューアルバムのレコーディング の最中だよね。ダブリンでもレコーディングしたし、今はフランスのニース。進み 具合はどうなんだろう? 「本当にいい感じで進んでいるよ。とっても楽しいよ。ここ数年はずっといろんな曲に 関わってきたけど、どれを一緒に選んだらいいのか分からないくらいたくさんある んだ。良い組み合わせも悪い組み合わせもあるからね。分かるだろ、これが大変 なんだ。実際、絶対に収録されると思っていた曲をあきらめなければならないことも あるんだ。結局、僕たちはとても長いアルバムなんて作りたくないんだ。巷の人は そういうものはうんざりなんだろうって思っているんだ。だから、ね、僕たちは ただ・・・」 Q:僕は絶対にうんざりなんかしないんだけどなあ。エッジ、思いのままにながーい アルバムにしてくれよ。 「(笑)ああ、僕たちの感じでは今、10数曲がちょうどいいんじゃないかって思って いるんだ。もし全部の曲がクラシックな曲だったら、こんなことは思うこともない はずさ。25曲ほどが1つのアルバムに入っていたら、半分の曲は全然合わないと思う んだ。他の誰かの気に入るようにもしないはずさ。僕は短くても本当に良いアルバム というものが人々が求めるものだと思うし、それがまさに僕たちのやりたいこと なんだ。で、僕らはそういう場所に届きつつある。あと8週間ほどしかないけど、 U2はいつも土壇場で重要な成果が出てくるんだ。僕らは今でも気の赴くまま曲を 変えてみたり、最初から書き直したりしているんだよ。」 Q:曲を書くといえば、君たちの作詞家のボノがノートPCを無くした時に、みんなは 彼に何と言ったんだい? 隠し部屋に連れ込んでボコボコにしたのかい? 「(大爆笑)最悪のニュースだったね。でも、うー、彼は取り戻したじゃないか。 すごいじゃないか。僕は知らないんだ。ボノが警察に何を話したのか。でも、・・・ あのノートPCほど大ニュースになった遺失物っていうのは聞いたことがなかったね。 僕は思うんだけど、ダブリンの犯人の同業者が、警察の追跡が及ばないように誰かに 頼み込んだんじゃないかって。それで戻ったんだよ。だから、僕らは助かった。でも、 そうだね(笑)。数日間は気が気じゃなかったよ。」 Q:この前のチャットで、ボノはU2を喩えて、ニューアルバムに関しては自分達の 戦車には「バックギアがない」と言ったんだけど、これまでの作品と比べて、今回の アルバムはどういった事が違うんだろう? 音が違うのかな? 歌のテーマが変わった のかな? 「うん、僕らは原点に戻ったんだ。本当にバンドを始めた時のようにね。題材は いろいろな意味でとてもパーソナルでね。そこから始めて、それを新しいやり方で 具現化していって、少し抽象化したりして。でも、バンドの心とか魂といったものは そのままになっていると思うよ。それは今後どのように出来上がったとしても変わら ないはずだし、今のところそうなっていると思うよ。」 Q:ニューアルバムで好きな曲があったら、タイトルと、好きな理由を教えて欲しい んだけど。 「アルバムの進捗がちゃんと把握できているわけじゃないから、タイトルを教えるとか いうのは気が進まないんだよね。でも、・・・僕が言いたいのは、本当に強力な曲が いくつかあるってことさ。たぶんここしばらく書いたことがないようなものでね。 本当に楽しいんだよ」 Q:最近、Freedom of Dublinを受賞したね。 「そうだね」 Q:それで、St. Stephens Greenに羊を放す機会をもらったんだね。 「そう!」 Q:それで、この流れで行くと次の質問はこうなるんだ。授与されたWaterford Crystal Joshua Treeは、どこにしまってるのかってこと。jack(?)の中? それとも? 「・・・まだ家に届いていないみたいなんだ」 Q:何だって? 「うん、分からないんだ。おそらくまだ工場の方にあると思うんだけど、確かでは ないんだ。ただ祈るばかりさ・・・郵便配達の人が落としたんじゃないってことをね。 それだけが不安なんだ。同じように、置くところもまだ決めてないんだ。でも、家の 中では一番の名誉なものだってことは確かだね。でも、困ったよね。とても壊れやすい 物だから。」 Q:これは前に聞いたことがあると思うんだけど、僕も含めて多くの人は、ロック界で これほど長い間もっともオリジナリティがあって優れたサウンドを作り出せるのは エッジしかいないと思っているんだけど・・・ 「そいつはありがとう、ケビン」 Q:・・・でも、ずば抜けてクールなファッションセンスもある。だからみんな知り たいと思うよ。ギタリストとして知っておくべきファッションのコツを教えてくれ ないかな? 「(しばらく考え込む)うーん、ジャケットを着ると同時にギターを持ったりしない ことかな。単に見栄えが悪いというだけでなくって、・・・でも帽子はいいね。」 Q:最後の質問は個人的なものなんだけど、聞いちゃうよ。10月に結婚式で演奏して もらいたいんだけど、予定はどうなっているのかな? 「(笑)スケジュールを調べてみるよ! 調べるって!」 Q:続きがあったんだけどな。「代金はギネスで払ってもいいよ。・・・でも、最近は そういう形での報酬は受け取らないだろうなあって思うけどね」 「(いたずらっぽく笑う)ああ、臨時の成人式で演奏してあげるよ」 註:odd bar mitzvah → 臨時の成人式?